技術用語集

あ行
引火点(Flash Point)

発生した可燃性蒸気が燃焼する最低温度となります。
この温度で着火源(裸火、火花など)を近づけると着火し、燃焼します。

オイルバリア剤

塗布することで撥油膜を形成し、高い撥油性により、オイル、グリース、はんだ、フラックス等の侵入、漏洩、這い上がりを防ぎます。
また、撥水効果も有しています。

エステル油

合成油の一種です。
低温性や対金属の潤滑性に優れますが、一部樹脂やゴムに対して樹脂割れや膨潤を引き起こす可能性があります。
動圧軸受や含浸軸受などが主な用途です。

か行
減摩作用

摩擦力および摩耗を少なくすることを減摩作用といい、潤滑剤に要求される機能の1つになります。

基油

潤滑油やグリースの基材として使用される油で添加剤などを混合する前のオイル。
ベースオイルとも呼ばれ、鉱物油と合成油に大別されます。グリースの基油として最も多く使用されているのは鉱物油ですが、鉱物油では満足できない特殊条件下においては、様々な合成油が使用されています。
基油はグリースの潤滑性、耐熱性、酸化安定性、低温性、対ゴム性、対樹脂性に大きく影響する主成分です。

グリース

グリースは、潤滑剤の一種であり、液体の潤滑油(基油またはベースオイル)に、増ちょう剤と呼ばれる微細な固体を分散してペースト(半固体)状にしています。また、用途に応じて様々な性能を付与する添加剤を配合します。

固体潤滑剤

相対運動する材料表面の損傷を防止したり、摩擦・摩耗を低減するために利用される固体物質を固体潤滑剤と呼びます。 潤滑油のような液体潤滑剤との違いは、摩擦面材料同士の真実接触が生じにくい点です。潤滑油による流体潤滑では高い荷重領域や低速域で油膜切れによるかじりが発生しやすいのに対し、固体潤滑剤は適切に使用されると、摩擦面に固体潤滑膜が形成され、摩擦面材料の直接接触を抑制し、かじりが発生し難いという特徴があります。
固体潤滑剤の多くは、層状構造を有しているか、または、構造は層状ではないが非常にせん断強さが小さいといった特徴があるため、潤滑効果を発揮します。前者の代表例としては、二硫化モリブデン、グラファイト、雲母などが、後者はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂や軟質金属などが挙げられます。

ころがり軸受

軸とこれを支える部分の間に玉 (ボール) や「ころ」などの転動体を入れ、滑り接触を転がり接触に変えて、摩擦を減少させる軸受。転動体に玉を用いるものを玉軸受 (ボールベアリング) 、ころを使用するものをころ軸受 (ローラベアリング) と呼びます。起動時の摩擦係数が滑り摩擦よりも低い転がり摩擦を利用した「ころがり軸受」は、すべり軸受と比較して組付け性や保守性に優れ、その潤滑には主にグリースが使用されます。

カメラ用(光学用)潤滑剤

カメラは、低温から高温多湿まで多様な環境下において高速かつ高精度な動きが要求されます。
また、レンズやシャッター付近では、油の滲み出しが敬遠されます。
これら多岐にわたる要求を満たす為、現在では速乾性潤滑剤DRYSURFが多く使用されています。

鉱物油(鉱油)

石油(原油)、天然ガス、石炭など地下資源由来の炭化水素化合物もしくは不純物をも含んだ混合物の総称。一般的には石油由来の油として広く工業製品等に用いられています。

さ行
酸価

試料 1g 中に含まれる全酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)のミリグラム(mg)数で示されます。
潤滑油では、劣化度合いや異物混入の確認のために用いられることがあります。
酸価の測定は、JIS K 2501にその測定法が規定されています。

焼結含油軸受

金属粉を焼結させ製造する軸受で、製造時に出来た気孔に潤滑油を含浸させた軸受です。作動時は、軸が回転することにより生じるポンプ作用によって潤滑油が軸受気孔内から抜け出し潤滑し、停止すると毛細管力により再び気孔内に戻ります。

増ちょう剤

増ちょう剤とは、オイルをグリース状にとどめるもののことです。
配合量や種類により、耐熱性、耐水性、グリースの硬さなど様々な性能に影響します。

蒸発量

グリースが高温の雰囲気にさらされた時に蒸発損失する量を蒸発量といいます。グリースの蒸発量は主として基油の蒸発損失に起因するもので、基油の種類、分子量などが影響を及ぼします。高温下の使用において蒸発損失が多いとグリースの硬化、潤滑不良を経て早期の潤滑寿命に至る原因ともなりますので、グリースの耐熱性評価の一つとなっています。

接触角

接触角は、下図に示すような角度θで表され、0°から180°までのいずれかの値をとります。下図の点線は、液滴の輪郭曲線と固体表面との交点における輪郭曲線の接線を表しています。

ソルベントクラック

ソルベントクラックとは、樹脂成形品の表面に溶剤が触れたときに生じる亀裂のことです。 溶剤にはアルコールなどの化学薬品だけでなく、日常生活でよく用いられる、油やワックス、化粧品なども含まれます。

絶縁抵抗

絶縁抵抗(ぜつえんていこう)とは、絶縁された導体間の抵抗値のことで、例えば電気コードのカバーなどが持つ抵抗値を指しています。単位はMΩ(メガオーム)。絶縁抵抗が低いと漏電を生じ、感電や火災等の原因となります。

接触抵抗

2つの導体を互いに接触させて電流を流すと、その接触部に電圧降下と温度上昇が生じます。これは接触部に抵抗ができるためで、その値は導体の種類、圧力、酸化膜の有無、吸着気体の状態、電流密度などによって異なります。

接点用グリース

スライド接点やコネクタ等の接点保護と潤滑目的で使用するグリースです。接点不良を防ぐために、非常に高いレベルでの異物管理が要求されます。

速乾性潤滑剤

フッ素溶剤中に潤滑成分を分散させた液体状の速乾性の潤滑剤です。揮発の早いフッ素溶剤に分散させることで、塗布後薄く均一な潤滑膜を瞬時に形成します。グリースと比べ、飛散やにじみ、転写が抑えられ、作業性に優れるなどの利点があります。
塗布膜がオイル分を含み多少ウェット感のあるセミウェットタイプと、完全にオイルを含まずさらさらとした完全ドライタイプがあります。

絶縁破壊

絶縁破壊とは、絶縁体にかかる電圧がある限度以上になった時に、絶縁体が電気的に破壊し絶縁性を失って電流を流すようになる現象のことをさします。この時の電圧を絶縁破壊電圧といい、絶縁破壊電圧を材料厚みで割った値を絶縁破壊の強さといいます。単位は(kV/mm)で表し、物質固有の値ですが、材料中に気泡が混入した時や、材料が吸湿した場合には値が低くなります。絶縁体としては、絶縁破壊の値が大きいものが望まれます。

赤外分光法(IR)

赤外分光法(IR)とは、測定対象の物質に赤外線を照射し、透過(あるいは反射)光を分光することでスペクトルを得て、化学結合情報の一部を知る方法のことをいいます。対象物の分子構造や状態を知るために補助的に使用されます。

すべり軸受

すべり面で軸を受ける軸受をすべり軸受といいます。すべり軸受の潤滑には、主にオイルが使用されますが、煩雑な給油・密封装置も必要となるため、装置の簡素化等の理由でグリースが使用される場合もあります。

た行
ちょう度(稠度)

グリース中に規定円すいを5秒間落下させ、その進入する深さをミリメートルの10倍で表した数値で、グリースの硬さを表します。ちょう度は数値が小さいほど硬いグリースになります。

滴点

試料を規定の装置で規定の条件により加熱した場合、半固体から液状に変わる初滴が落下した時の温度。グリースの耐熱性の目安となります。

添加剤

添加剤はグリースの物理、化学的性能を改善し向上させるために添加されています。また添加剤の中には1種類でいくつもの性能を向上させるものや、添加したために他の性能に悪影響をおよぼすものもあります。

動粘度

一定容量の液体が規定温度において、粘度計の毛管内を自然流下するのに要した時間(秒)に粘度計の定数を乗じたものです。動粘度は、オイルの粘性を表す数値で、数値が大きいほど粘りがあるオイルとなります。

低分子シロキサン

シリコーン系のオイルやグリースなどは、製品化された後に製品に含まれる低分子シロキサンが揮発することがあります。
低分子シロキサンは高沸点物質ですが揮発性が高く、室温あるいは体温付近でも蒸気となって気中へ拡散して、電気回路やリレー接点、半導体の製造ラインにて低分子シロキサンが起因で誤作動、故障、不具合を招く恐れがあることが知られています。

銅板腐食試験

グリース中の酸性物質や酸化劣化による酸化生成物、あるいは腐食性イオウなどによってひきおこされる腐食を見る試験で、研磨した規定の銅片にグリースを塗布もしくは浸没させ、銅片やグリースの腐食や変色の程度を評価するものです。

(低温)チャタリング

可動接点などが接触状態になる際に、何らかの理由で発生する不安定な信号のことで、電子機器の誤動作の原因となることがあります。
特に低温で通常のグリースを使用する場合は低温で固くなるため、グリースが接触を阻害しチャタリングの原因となりえます。そのような箇所には改善策として、低温特性の良いフッ素系の潤滑剤を使用する例が多くあります。

ダストトラップ剤

光学機器では、微細なダストが鏡筒内やイメージセンサー周りに存在することで、撮影品質を損なう要因となりますが、その不具合となり得るダストを捕捉するための製品です。特にクリーンルームでも取りきれない、非常に微細なダストの捕捉に役立っています。

な行
粘度

粘度(ねんど)とは、液体などのねばりの度合のことで、粘性率、粘性係数とも呼ばれます。

粘度指数

粘度指数は、潤滑油の粘度の温度依存性を表す指数で、数値が大きいほど温度による粘度変化が小さいことを示します。
指数は、40℃における動粘度と100℃における動粘度から算出されます。

は行
腐食防止剤

腐食防止剤はグリース中の酸性物質や二酸化硫黄等の大気中の腐食性ガスによる金属表面の腐食を防止する添加剤です。ベンゾトリアゾール等の含窒素化合物があります。

フッ素樹脂(PTFE)

最も摩擦係数の低いポリマー。分子間凝集力が小さいために、摩擦係数が低くなると考えられています。

密度

密度とは、物質の単位体積あたりの質量のことです。単位は、g/cm3(グラム 毎 立方センチメートル)を用います。

沸点

沸点とは、液体の飽和蒸気圧が外圧と等しくなる温度です。

フッ素グリース

フッ素グリースは、ベースオイルにフッ素油を用い、PTFEを増ちょう剤として用いたグリースの一種です。合成油に比べて、耐荷重性、蒸発量、撥水性に優れ、長期間劣化がなく、ポリカーボネートやアクリルなどの耐油性の低い樹脂・ゴムも侵さない、などの特長があります。また、使用温度範囲が広く、優れた耐薬品性、電気絶縁性、不燃性を備え、粘度指数が高いことなどから、溶剤雰囲気下の塗装ラインや、クリーンルーム内、高真空機器、永久封入用などの潤滑剤として用いられます。

ポリαオレフィン(PAO)

ポリオレフィンの一種として、α-オレフィンを重合させたものが、ポリαオレフィンで、省略してPAOと表記されることもあります。炭化水素系合成潤滑油として広く使われています。

ま行
摩擦係数

摩擦係数μは摩擦力Fを接触面に作用する垂直抗力Nで割った無次元量(μ=F/N)で求めることができ、摩擦試験機で測定が可能です。

一般的には動摩擦係数より静止摩擦係数が大きくなります。
静止摩擦力の限界を超えると物体は動き出します。

や行
溶剤

ある物質を溶かし込んで容体をつくりうる液体を溶媒といい、
工業的には溶剤(ソルベント)と呼ばれます。
他の材料を溶かして使用しやすくする液体材料のことです。 一般によく使用される有機溶剤は、引火性や樹脂への影響が懸念されますが、当社DRYSURFは主に引火性が無く、樹脂への影響性が少ないフッ素溶剤を使用しています。

有機モリブデン

モリブデンの有機化合物。グリースに極圧添加剤として添加されます。
有機モリブデンを含むグリースは、特に金属同士の摺動で良好な潤滑性を有します。また、二硫化モリブデンとは異なり、黒色ではないため、塗布作業後の黒ずみ汚れ少ないという利点もあります。

当社代表製品:HI-LUBE MG-2395

ら・わ行
流動点(Pour Point)

主に石油分野、潤滑油分野で用いられる液体の低温流動性の指標です。液体が凝固する直前の温度となります。

離油度

離油度は静的な条件におけるグリースの油分離傾向を評価するものです。 グリースの離油度が大きいと貯蔵安定性が悪く、軸受などの長期使用に対しても不都合ですが、適度の離油度であれば潤滑効果を向上させるともいえます。

硫化防止

銅や銀は、ハンダ付け性あるいは接触電気抵抗などの電気特性にも優れており、電子部品の接点材料としても有用されています。銅や銀が硫化するとハンダ付け性や接触電気抵抗にも悪影響を及ぼすことから、銅や銀など接点の材質に合わせた接点グリースは、硫化防止を目的に各種添加剤を添加して硫化や酸化などから接点を保護します。

流体軸受

流体軸受とは、モーターなどで使用される軸受けの機構のうち、軸受の隙間に気体、あるいは液体などの流動体を充填させることで、より滑らかに動作するようにした機構のことです。 モーターの回転軸と軸受の間の空間に、通常はベアリング球と潤滑油を充填する(これを「ボールベアリング」といいます)ところを、流体軸受では油や空気などの流体を介在させるのみで滑らかに運動させています。